月

諏訪紀行(2回目/三日目)

― 第三日目(3/1) ―

…6時40分、起床。
昨日の事態収拾(地図やら帳簿やら雑記)を再開。
しかし、寒い…。
暖房は一定時間経つとアラームを発するので付けっ放しにはできないようです。
やむなく昨夜と同じように消して床に就いたのですが…それ故に昨日の朝と同じ状況に。

温まりつつ今日の予定を考えます。
自転車が利用可能であった事、一日目で諏訪対戦縁の地と御射山神社両方を巡ってしまった事などの
思わぬハプニングによって大幅に予定が繰り上がりました。

…しかし、出費も激しくこれ以上大幅な移動を行うと帰る際に大変な事態になりかねないことが判明。
また、昨日の疲れから体力的に見ても大移動は厳しいでしょう。
その上睡眠不足にも拘らず目が冴えてしまったので睡眠不足。
…今日はゆっくりする事にしましょう。

と、ここで一つ気付く。
昨日秋宮を訪れた際、近いうちに行う神事の一覧があったのですが…。
その中に、今日月次祭を行うと記されていました。
どのような内容か詳しい事は判りませんが、毎月行う恒例行事のようなものでしょう。
と比較的軽い内容を想像して、その神事を見にゆく事に。
折角の機会ですから、見ておくのも悪くは無いでしょう。

という訳で急ごしらえの予定を実行する為に8時過ぎ、朝食を調達…
しようと外に出てみたら、雪が降ってました。
…え?

女将さんに聞いてみると午後の降雪確立は30%との事。
…今降っているのだから、このまま昼過ぎまでは降り続けそうな感じです。
これではやはり大きな移動はできそうにありません。
幸い、昨日手に入れた書物が格好の暇潰しになります。
しかし、神事だけは見ておきたいのでそれだけは行く事に。

8時10分過ぎ、部屋に戻り朝食を取ります。
その後少し間をおいて朝風呂を。時間は9時過ぎ。
…神事は春宮にて10時から。間に合うのでしょうか?

やんごとなき事情によりギリギリに宿を出発。
と、ここで初めて宿のすぐ近くに神社がある事に気付きました。
無論御柱が建っていm(ry
…後で参拝しておきましょう。


10時10分、春宮到着。
開始には間に合いませんでした。

雪が静かに降りしきる中、神楽殿の内部には電灯が点されています。
昨日とは明らかに違う、常ならぬ雰囲気を感じながら様子を窺う事に。
神楽殿の中には、大勢の人がいました。皆神事の参加者なのでしょう。

雪が降っている為か、こういう時にいそうな観光客はおらず、神事を傍観しているのは私のみ。
神主さんが拝幣殿前で祝詞をあげ、笛の音が辺りに響き渡ります。

…どちらかと言うと、御祭神に月が改まって最初の挨拶をするという感じでしょうか…。

身近なものに例えるならば…そう、お正月。
年が明けて改まった挨拶をするというのと感覚が似ているかもしれな、と思いました。

想像よりも遥かに厳粛な儀だったのでたじろいでしまいました。
祝詞も笛の音も無くなる静謐の中を、音も立てずに降りしきる雪が、
一層場を厳かな雰囲気に仕立て上げているようでした。
…場の空気に呑まれ、正直言葉も出ません。

そんな空気を壊すようなシャッター音は無粋でしょう。
場の空気はそれさえ許していないようですし。
なので、写真は無し。
しかとこの胸に刻みましょう。
…寧ろ、私のような一般人が場に居合わせていいのかさえ戸惑ってしまうような状況でした。

永いようで短い神事がひと段落しました。
神主さん達が拝幣殿から離れ、巫女さんが御饌を降ろします。

こちらもやっと一息。
と、ここでタイミングを見計らったかのように数人の参拝者が。
…しかし、まだ雪は降り続いています。
先程よりは若干穏やかになったようですが、まだまだ降り続けそうな感じです。
神事が終わったら、秋宮に参拝をして宿に戻ることにしましょう。

と、ここで神楽殿の中から一斉に人が退出して来ました。
中の人達は皆背広姿…やはり一般人がいては不味かったのか?
とはいっても、神事が終わった今となっては後悔先に立たず。

途中係の人と思しき人が何度も近くを通りましたが、何もお咎めが無かったので多分大丈夫だったのだと…
そう思いたいです。


さて、一通り神事が終わった所で他の人達も参拝を始めたので、私も最後に参拝。
二拝二拍一拝、と…。
ゆっくりと頭を上げ、瞑っていた目を開けて振り向くと…そこには信じ難い光景が…。



なんと、今の今まで…私が二拝二拍一拝を始める直前まで降っていた雪が
ほぼ止んでいたのです。
あれ?と呆気に取られていると雲間から陽光まで差し込み始め、境内が明るくなりました。

…なんでしょう、この絶妙なタイミングは?
一連の変化に戸惑っている内に、小さな小さな雪片さえ止まり、雪は完全に降り止んでしまいました。

内心、空いた口が塞がらない状態でした。
ここまで天気が一変する事ってあるのですね…。
ただただ驚く事しかできませんでした。


とりあえず、雪が止んだ事で多少動けるようになりました。
折角外にいるのですから、観光するなら今の内でしょう。


 
…という事で、春宮の境内の隣に位置する浮島社へ。
こちらでは6月晦日に祓の神事を行うという事だそうです。
また、大洪水が起きた際にも決して水没する事が無かったというので
下社の七不思議の一つに数えられているそうです。


早速参拝。
当然、御柱は忘れない。


浮島社から更に歩いて数分。


下諏訪の観光名物になっている"万治の石仏"に到着。
一応観光名物という事で。


とりあえず、見ておきたいものも見られたのでそのまま秋宮に向かう事に。
昨日秋宮についてはコンプリートしていますが、せめて諏訪に滞在している間は毎朝参拝しようと思っていたので。
何ででしょうね…。やはり、神奈子様のスペルカードの背景になっている事で一番親しみがあるからでしょうか。

向かう途中、昨日や行きとは違うルートを選択してみました。
すると、幸先よく途中で神社を発見。


御作(みさく)…ち?
パッと見ミシャグジ神が祀られているのかと思いました。
しかし、よくよく見てみると…


御作田(みさくた)社…?!

下社七不思議の一つに数えられる、あの御作田ですか!
風神録とは直接関わりが無いという事でノーマークだったのですが、何たる幸運。


ちなみに、御作田は上社、下社の両方に各々あり、どちらの七不思議でも挙げられるようです。
その内容は上の案内板の通り、6月晦日に田植えの神事を行うのですが、
それがなんと、8月1日には稲が実っているというのです。
通常、稲は1ヶ月で育つはずがありません。春に苗を植えて、秋に収穫する事からもその事は自明です。
なので、七不思議の一つに数えられるという訳です。


こちらがその御作田、なのでしょう。
こうして幸運にも巡り会えるとは。


なお、この御作田社は諏訪大社と関わりが深いにも拘らず、御柱が見当たりませんでした。
寧ろその点を不思議に感じました。


さて、途中思わぬ収穫を得て秋宮に到着。
参拝すると共に、昨日は神奈子様のスペルカード背景のイメージが強すぎて
正面からの写真しか撮っていなかったので、別アングルからの撮影に挑戦です。

   

…やはり正面からが一番しっくり来るような気がするのは、神奈子様のイメージが強すぎるのか…
他の場所でも、正面からの写真が多い為にイメージが固定されている所為もあるかもしれませんね。
しかし、だからこそ敢えて別の角度から見る事で意外なものが発見できたりもするのですが。

 
昨日は撮影していなかったので、ここで下社の根入りの杉も撮影。
…丑三つ時になると、いびきが聞こえてくるそうです。

…神奈子様が杉の上に横になって眠っていたり…そんな訳無いですが。

神楽殿をしっかりと目に焼きつけ、秋宮を後にします。
時間も時間なので、昼食を調達して一旦宿に。
外気温は日陰だと2℃を下回っていました。
…道理で冷えるわけです。

今日はあまり動く気がなかったのでまったりとした昼食タイム。
体を温めなおします。
午前中雪が舞っていただけあって流石に今までよりも寒い。

しかし、春宮で神事を見終えた後から雪が再び降り出す気配は無し。
…午後は昨日行けなかった兒玉石神社へ向かうとしましょう。

14時前、漸く宿を出ます。
カメラのフィルムは先の石仏の時に、予め持ってきたフィルム・昨日調達したフィルム全てを使い切ったので
カメラは置いてゆく事に。…これ以上フィルムを調達して撮影したら、
原像代で顔を青くしてしまいますから(汗
…いや、今でも十分青くなっていますが。


また、この時初めて宿の目と鼻の先にある神社に参拝。
こじんまりとした神社でも、やはりあるのは御柱。
今日の旅の平穏を祈りましょう。


電車にて移動。上諏訪に着き、早速移動を開始。
多少の距離はありますが、決して徒歩で行けない距離ではありません。
昨日現在位置を見失いかけましたから、歩きでゆっくり現在位置を確認しながら行った方が寧ろ安全です。

駅から北上し、通りの形状などから右折、細い路地に入ります。
そこから数分強。…やはり迷いかけます。
通りが思ったよりも複雑なようです。

注意深く進み、漸く一本線に。
ここから右手を眺めつつ歩いてゆけば見えてくるはずです。

路地を歩く事10分弱。
右手に鳥居を発見。


…と、ここには巨大な石があるはずなのですが…見当たりませんね。


あれ…
白山社?

…どうやら全く違う神社に到着してしまったようです(汗
そういえば、諏訪に来る途中新幹線の中で白山の事を考えてましたね。
なんという偶然。
ここで出会ったのも何かの縁。折角ですので参拝しておきましょう。
ご祭神は白山比咩神、菊理媛神と同一視される女神ですね。

…と、どうも無理に崖を削ってその敷地に社を設けたようで、
階段が結構急ですね。


何やら戸が半分ほど開いていますが…何かあったのでしょうか?
とりあえず参拝。

この神社にも御柱はありましたが、敷地の関係上しっかりと建てることができないらしく
近くの木を使って止めてありました(汗

さて、当初の目的である兒玉石神社は何処に?
崖の上に上ってきたので、その眺望を生かし周囲を眺めてみると…
何やら住宅街の一角に高木が叢をなして覆い茂っている場所を発見。
方向は、先程歩いていた通りの方。

…おそらくあれが兒玉石神社でしょう。
神社を見つける時は鎮守の森を目印にすれば見付け易い。
これは神社巡りで培った経験です。…まさかここで役に立つとは。


早速先程歩いていた道を引き返します。
目印は今しがた見つけた樹叢。

路地からその樹叢に通じていそうな道を覗いて見ると…


あった!
兒玉石神社です。

ねんがんの こだまいし じんじゃ を みつけたぞ!

さて、早速境内を見てみましょう。


陰になっていて判読が難しいですが、ここは諏訪の七石の一つに数えられています。


この紀行レポートの中でも何度も登場している七石と七木。
今までスルーしていましたが、ここに来て漸くしっかりとした姿を見られたので。
これらは言うまでも無く、

土着神「七つの石と七つの木」


の元ネタです。
あまりにも場所が散在していたり、現存していなかったり、諸説あってどれが一番信憑性が高いものなのか、
などなど多くの問題を抱えていた為に今回は全面的に見送る方針でした。
しかし、そんな中でも兒玉石神社は七石の一つとはっきりと銘打っているので
場所も行動範囲の近くにある為に赴いてみようという事になっていました。
来られて良かったです。


横は公園になっていたり、ここだけ住宅街から違った空間になっていますが、
その中でも一際異彩を放つのはやはりこの巨石(群)。

何故このような場所にこれだけ大きな岩があるのでしょう…不思議なものです。

なお、ここにも御柱はあります。
境内にはその他、多くの社や碑、石像が。


例えばこのように"戸隠大神"と刻まれた石碑。
戸隠、という事は同県の戸隠山の事なのでしょうね。
何故ここで祀られているのか…これもまた不思議なところです。


社殿を階段下から。
参拝も終えたところで…予定地が全て終了しました。

時間はまだ多少余っていますが、お金と体力がそろそろ限界です(汗
どうしましょうか…

時間は3時直前。
このまま宿に戻るのは惜しいという事で、周囲を散策する事にしてみました。
どうやら、駅のすぐ近くに神社が一箇所あるようです。

そこへ行ってみましょうか。
大通りを戻り、蛇行する細い路地へ入ります。

…しかし、それらしき場所には何も見当たりません。
地図をよくよく見てみると、さらにもう一本細い路地が。
そこへ向かいます。

すると、線路に一番近い路地にその神社はありました。


結果からすれば、駅東口を出てロータリー内のすぐ脇の道を入った所。
土地勘がある人でないと入らないような気さえしてしまうその場所に、この神社はありました。
規模は小さめ、境内と呼べるようなスペースは人一人立てば埋まってしまうほどの極小です。
しかし、全体が朱塗りなので見つけさえすればかなり目立ちます。



案内板を見てみると、稲荷神社のようです。
しかしご祭神は猿田彦大神、天宇受売命(あめのうずめのみこと)…
と記されていますね。変わっています。

と、ここでミシャグジ神に関する情報を思い出しました。
幾つかの文献や岡谷市の御射宮司社の由緒碑に記されていたものです。
幾つかのミシャグジ神を祀っていた神社は、猿田彦神や天鈿女命、食保神などを祭神として置き換えた、というものです
また、食保神が稲荷神として祀られている例があるのは以前神社巡りをした際に判っています。

…もしかしたら、ここも昔はミシャグジ神を祀っていた…のかもしれませんね。

今となっては真相は判りませんが、これも何かの縁なんでしょうかね…
参拝をしながら、しみじみそう思います。

ところでこの神社、人一人が立つとスペースが埋まってしまうほどの狭さにも拘らず、
やはりあるものはあるのです。
そう、御柱。
しかも…


隣にある道祖神の碑にも御柱!
何処にでもあるのですねぇ…やはり。
道祖神は猿田彦神とも習合していますから、猿田彦神の名を挙げている神社にあっても可笑しくないのですが。

参拝を終え、駅へ。
昨日の疲れがまだ取れない所為か、ズルズルと引きずってしまいました。

とりあえず、土産を調達。
このまま止まるのは嫌なので、少しでもできる事をしておきたいという気持ちの表れでしょう。


そのまま宿へ戻ります。
部屋にて昨日と同様に雑記を付けたり、帳簿を付けたりとやるべき事をこなします。
…このまま明日も終えるのかと思うと気が気でならないので、ここに来て漸く七木の方を調査してみる事に。

…そうこうしている内にすっかり日も暮れてしまいました。
結論。
やはり困難である。
時間だけは余裕があるという状態ですね。
何より、地図上での場所の特定が困難なのが痛いです。

7時20分。
夕食を取る事に。
…肌荒れが酷いので、少しは治癒効果が出る事を期待してみかんゼリーを購入。
著しい効果は期待していませんが、気休めにでもなるでしょう。

というわけで、今日は此処まで。
テレビを見ながらまったりした後、就寝しました。