月

雑考

― 紅魔郷関連 ―

'08 12/14付けの雑記から・十六夜 咲夜と傷について

 昨日、岩波書店発行の『日本書紀 上』を読んでいたら
気になる記述を発見しました。
 それは、崇神紀秋八月の葵卯の朔己の酉の条目で、
倭迹即神淺茅原目妙姫、穂積臣の遠祖大水口宿禰、伊勢麻績君の
三人が一様に大物主神の出現の夢を見たことを申し上げる場面にて、

  「昨夜夢之、有一貴人、誨曰、以大田々根子命、為祭大物主神之主、…(後略)」
云々と述べているものです。
 このうち着目したいのは、"昨夜"の訓です。
 文中ではこれを"キズ"と訓じていました。

 校註に拠れば、この語のうち"キ"は
"キノフ(昨日)"の"キ"と同じであるといいます。
 また、『万葉集』や『古事記』でも"許序(キゾ)"や"許存(コゾ)"
といった語が見え、昨年や昨夜といった意味を持っていたようです。
 加えて、これらの語での"ゾ"は過ぎ去った夜、年を表すことから
この文中での訓は濁音だったと考えられること。
 また『日本書紀』での昨夜に対する古い訓に"キス"と
当てられている場合があるが、これは音が転訛したもので、
"キス"の清音よりも"キズ"という濁音と考えられる、
ということで"キズ"の訓を当てることにした、
というような旨の注釈がなされていました。

つまり、確定的な訓ではないようなのです。

 このように不確定ですが、"昨夜"の文字に"キズ"
という訓が当てられていることは興味深いと思われます。

 何故ならば、咲夜という名前はその音から"昨夜"の語との関連が
考えられますし、その咲夜さんは
傷符「インスクライブレッドソウル」や傷魂「ソウルスカルプチュア」
といった、"傷"という文字を含むスペルカードを行使する為です。
 傷は"キズ"とも読めますし、
これを肯定すると仮定したならば、咲夜 ― 昨夜 ― 傷
と連想することができます。

…というのは深読みし過ぎでしょうか。
ただ、面白い要素だとは思うので一応参考までに紹介させて頂きました。

突発企画・神社巡りレポート(10)より・十六夜 咲夜/雑考

木花咲耶姫命という名前ですが、
儚月抄の事もあるようですし、咲夜さんとの関わりが気になるところですね。
名前の音が"さくや"で一緒ですからねぇ…
しかも、月の民は輝夜の例のように時間に関わる能力が共通点としても見出せますし…

永夜抄での咲夜さんの発言の中に
木花咲耶姫命に関する伏線らしきものも見え隠れしますし…
気になる所ではありますね。

一方で、咲夜の名はレミリアが与えた名前らしい、という話も聞くので、
そう考えると名前は単なる偶然か…
そういえば、求聞史紀ではレミリアの項に姓名変更による
運命操作の示唆かと思われる記述があったような…

…とすれば、前世の因縁云々ではなくて、
レミリアの運命操作によって"これから"月と関ってくる、という事なのでしょうか?
いずれにせよ、レミリアの関与が気になる所です。


儚月抄は購読していないので深く突っ込めませんが、
とりあえず木花咲耶姫命と名前が関連という事で。




― 妖々夢関連 ―

'08 11/28付けの雑記から・魂魄 妖夢スペルカード(天人の五衰)
魂魄 妖夢雑考
天人の五衰について

天上剣「天人の五衰」。
それは『東方妖々夢 ~ Perfect Cherry Blossom.』において、
魂魄 妖夢が行使したスペルカードの一つである。
その名称に冠される"天上"とは、他のスペルカードとの対応から
仏教の六道の一つ、"天上界(天界)"に由来すると考えられる。
この天上界に住む者が天人
(天人はまた飛天といったり、特に女性が多いことから
天女といったりする場合もある)
である。
しかし、この天上界に住まう天人といえども
その命は永久ではない。
それは、天上界が六道の一つに数えられている
ことからも窺い知れる。
つまり、天人もいずれは死ぬ存在である。
そして、この天人が死ぬ間際には五つの前兆が現れるという。
これを、「天人の五衰」という。

その内容については古来より諸説あり、一定ではない。
以下、そのうちの幾つかを挙げてみたいと思う。
例えば、『往生要集』では
 「一には頭の上の花鬘(はなかづら)忽ちに萎み、
  二には天衣、塵垢に著(けが)され、
  三には腋の下より汗出て、
  四には両の目がしばしば眴(くるめ)き、
  五には本居を楽しまざるなり。」
と記されている。
また、これに続けて、
 「この相現ずる時、天女、眷属、悉く遠離して
 これを棄つること草の如し。…」
とある。
つまり、五衰が現れた天人からは天女や眷属が離れ、
草のように捨てられてしまうようだ。
ところで、この五つの相については
『仏本行集経』(巻五)では先述と比べ、
 「四、身威光を失う」
としており、『摩訶摩耶経』(巻下)では
 「三、頂中の光滅す」
としているという。
さらに、『增一阿含経』(巻二十四)には、
 「一、華冠自ら萎み、
  二、衣裳垢フン(フンは"つちへん"に"分")
  三、腋下より汗を流す、
  四、本位を楽はず、
  五、王女違返す」
とあり、小異ではあるがやはり先述までのものと
異なっている。
この他には、『倶舎論』(巻十)のように
五衰を小五衰、大五衰に分ける説もあるようだ。
(その内容については、大五衰が先述した五衰と
ほぼ重なっている。)

そうして諸説がある「天人の五衰」ではあるが、
その中でもその記述に関しては
『大般涅槃経』に記されているものが著名のようである。
これに拠るのであれば、
 「一、衣裳垢穢
  二、頭上花萎
  三、身体臭穢
  四、腋下汗流
  五、不楽本座」
がその相であるという。
なお、このうちの「頭上花萎」と「不楽本座」は
『東方緋想天 ~ Scarlet Weather Rhapsody.』の
小野塚 小町のストーリーにて
小町と天子とが対峙した際のテロップや会話の中にも
登場していることは一瞥を払うべきであろう。


-------------------------------------------------------------------------------------------

― 出典 ―
・『東方妖々夢 ~Perfect Cherry Blossom.』 上海アリス幻樂団 2003
・『東方緋想天 ~ Scarlet Weather Rhapsody.』
    上海アリス幻樂団/黄昏フロンティア 2008

― 参考文献 ―
・『往生要集 上』 石田 瑞麿訳注者 株式会社岩波書店 1992
・『例文 仏教語大辞典』 石田 瑞磨著 小学館 1997
・『仏教用語事典』 須藤 隆仙著 株式会社新人物往来社 1993
・『故事ことわざの事典』 尚学図書編集 小学館 S.61
・『佛教大語辭彙 第五巻』
       龍谷大学(花田 凌雲代表) 合資会社冨山房出版 S.49

'08 11/26付けの雑記から・魂魄 妖夢スペルカード(業風と由旬)

妖夢のスペルカードについて雑考。
(既に幾つもの考察サイトで取り上げられているとは思いますが…)
ということで獄界剣、獄炎剣、獄神剣について。

最初に"獄界"の語については、『妖々夢』中で
妖夢の用いるスペルカードが各々仏教の六道
(人界、天界、修羅界、畜趣界、餓鬼界、地獄/
ただし経典や宗派によって名称などが異なる場合がある)
に準拠していることから、地獄を指す言葉と思われる。

『往生要集』の中で描写される地獄は、特に炎熱による責めが
かなり詳細に記されている。
地獄の様子を記した文章の殆どは八熱地獄(八大地獄)の説明に
費やされていることからもそれは窺える。
その点から、地獄で"炎"という連想ができると考えられないだろうか。

一方、以下は各々の名称について見てみたい。
まずは「業風閃影陣」、「業風神閃斬」から。

"業"とは、その人間の意志を伴った心身の活動や行為とされる。
因果応報の観念からすれば、業は必ずその人間に対して
果を報いると考えられた。
それが悪業であれば、苦痛をもたらすことになる。
その悪業の強い力を風に例えた語が"業風"であるという。
また、地獄に吹く風を業風ということもあるようだ。

『往生要集』にも八熱地獄の第七、大焦熱地獄の説明にて
「一切の風の中には業風を第一とす。
かくの如き業風、悪業の人を将(ひき)ゐ去りて、かの処に到る。」
と記している。
これから察するに、悪業を働いた者を
この地獄に連れてくるのが、この風のようである。

余談ではあるが、『往生要集』の地獄の中で、
この業風の他にも風が関連する場所が幾つか存在する。
例えば、八熱地獄の第一、等活地獄の別処の
五番目に数えられる"闇冥処"では、
罪人は常に闇火で焼かれているという。
そこで
「大力の猛風、金剛の山を吹き、合せ磨り、合せ砕くこと
猶し沙(すな)を散らすが如し。」
と記されている。
また、同所では鋭い刀に割かれるような熱風も吹くという。

次に、同地獄の第六、焦熱地獄の別処の一つ"闇火風"では
罪人が悪風に吹かれ、つかまるところも無く虚空を飛ばされ、
そのうち、また違った太刀風によって身を砕かれ粉々になるという。
この他にも、同地獄の第二、黒縄地獄でも
悪風によって熱鉄の縄が罪人に絡まる、というところで風が関係している。


さて、業風に続いて今度は「二百由旬の一閃」について。
"由旬"は梵語 yojana の音写で、
古代インドの距離の単位を表す。
その意味するところは、くびきをつけるという意味で、
牛に車をつけて一日ひかせる行程を指すという。
その距離については諸説あり一定ではない。
一例としては、約七マイル(一一.二キロメートルほど)
或いは九マイルといわれたりする。
また、一説には一四.四キロメートルとされることもあるようだ。

ところで、『往生要集』では
大焦熱地獄にて閻羅人が呵責する際に言う言葉の中に
火聚(かじゅ)の説明として
「その聚(あつまり)、挙れる高さ五百由旬なり。
その量、寛く広がれること二百由旬なり。
炎の燃えて熾盛なるは、かの人の所作の悪業の勢力なり。」
と記されており、"二百由旬"という言葉が用いられている。
また、その炎の勢いは人の悪業に因るようであり、
そこに"業"、ひいては業風との関連が見えなくも無い
のではないだろうか。


-------------------------------------------------------------------------------------------

― 出典 ―
・『東方妖々夢 ~Perfect Cherry Blossom.』 上海アリス幻樂団 2003

- 参考文献 -
・『往生要集 上』 石田 瑞麿訳注者 株式会社岩波書店 1992
・『往生要集』 中村 元著 株式会社岩波書店 1983
・『例文 仏教語大辞典』 石田 瑞磨著 小学館 1997
・『岩波 仏教辞典 第二版』 中本 元/福永 光司ら編 株式会社岩波書店 2002
・『仏教用語事典』 須藤 隆仙著 株式会社新人物往来社 1993


突発企画・神社巡りレポート(9)より・魂魄 妖夢スペルカード(六道)

六道(ろくどう、りくどう)とは仏教における世界観の一つです。
人が輪廻転生を繰り返すうちに現れる6つの世界で、
餓鬼道(がきどう)、地獄、畜趣道(ちくしゅどう)、
修羅道(しゅらどう)、人界(にんかい)、天界
の6つです。

なお、宗派や経典によってそれぞれの名称が変わったり
(畜趣道が畜生界とされたり)
或いは解釈が異なっていたりするので一概には言えませんが…
ここでは簡略の為上の表記に纏めさせて頂きます。

…さて、お気付きでしょう。
それぞれの最後に剣と付けるなり、道を剣に変えてみると一目瞭然です。
これらは皆、魂魄 妖夢が東方妖々夢劇中にて使用するスペルカードに
冠される名称です。

餓鬼剣「餓鬼道草紙」
獄界剣「業風閃影陣」
畜趣剣「無為無策の冥罰」
修羅剣「現世妄執」
人界剣「大悟顕晦」
天界剣「七魄忌諱」
(※ 難易度不統一)

また、六面道中でのスペルカード
六道剣「一念無量劫」
もそうですよね。


突発企画・神社巡りレポート(3)より・八雲 藍スペルカード(役小角と荼吉尼天)

役小角といえば、八雲 藍が文花帖にてスペルカードとして使っていましたね。
超人「飛翔役小角」
行小角は修験道の開祖と伝えられる人物で、讒言によって流罪となった後、
その流罪先から毎夜富士山まで飛び、そこで修行をして朝にまた流罪先に戻る、
といった生活を送ったと言う伝説が伝えられています。
おそらく、"飛翔"というのと、"超人"というネーミングはここに由来するのでしょう。

あと、役小角は2対の式神を使役したという話も有名です。
その名は、"前鬼(ぜんき)"・"後鬼(ごき)"。
そう、妖々夢Phでのスペルカード、式神「前鬼後鬼の守護」はこれに由来すると見て間違いないでしょう。

稲荷様といえば、民俗信仰や仏教系…特に、ジャッカルに乗った姿で表される
荼吉尼天(だきにてん)の影響で狐との結びつきが強くなったといいます。

ジャッカルがいないので、日本では姿形が近いのか白狐に乗った姿で茶吉尼天が表された事、
また荼吉尼天が農耕に関るという事から稲荷様と結びつき、現在の"稲荷様=狐"という構図が
できあがってきたようです。
…元々インドの神話の中では、人間の肝を喰らう恐ろしい女神のイメージが強かったらしいです。
お釈迦様の説法により改心し、人の死を予見する能力を与えられて、
死んだ後の肝を喰らう事を許された…とかそんな話があるらしいです。

ちなみに、茶吉尼天といえばスペルカード 式神「憑依荼吉尼天」の元ネタですね。


突発・神社巡りレポート(16)より・八雲 藍スペルカード 幻神「飲綱権現降臨」

幻神「飲綱権現降臨」
…飲綱権現の本山は長野北部の飯縄山にある飲綱神社と思われます。
飲綱権現は白狐に跨る烏天狗の姿で表されるといわれますが、
その烏天狗も一般の烏天狗とは様子が異なるようです。
これを見るに、白狐は元々ジャッカルに跨っていた荼吉尼天から、
烏天狗の逆立った髪や右手剣左手宝珠といった姿は不動明王から、といわれ、
荼吉尼天の信仰と不動明王の信仰、
更に日本の天狗の信仰が加わって成立したのではないか、といわれているようです。
八雲 藍がこのスペルカードを使用するのは、
単純に見れば荼吉尼天の信仰が狐と関わりを持っているからでしょう。
事実、妖々夢で藍が行使するスペルカードの多くは狐が関係しており、狐という着想点から来たものと考える事ができます。

一方で十二神将や前鬼後鬼、
或いは文花帖での御大師様、八千枚護摩(スペルカードでは八千万枚と一万倍に数が増えていますが)、
役小角は修験道や密教といった日本の呪術や山岳信仰に関わるものであり、
こちらの着想点は、狐が人を化かせる妖の要素を持っていることや
式神(或いはクダ狐、飲綱)として狐の類が用いられた他、
この飲綱権現がそういった信仰に深い関わりを持っていたことも要素として挙げられるのではないでしょうか。
そういった要素が藍の内面において
狐から着想されたスペルカードと山岳信仰系に根を下ろすスペルカードを結び付ける大きな接点とはいえないでしょうか。




― 萃夢想関連 ―

08 11/17付け雑記から・紅 美鈴スペルカード華符「破山砲」/雑考

少し気になる資料を発見したので、雑考とまで行かず紹介を。
それは、ちゅうご…もとい、紅 美鈴のスペルカード
華符「破山砲」について。

北宋代の書物『太平御覧』巻二三二には
唐代、戴孚の『広異記』を引き、
山をも破ることのできるという"破山剣"の
説話を記しているようで、その破山剣について。

その説話に拠れば、
ある士人が田畑を耕している際に一振りの剣を手に入れた。
そこでその剣を磨いて市場に売りに出したところ
胡人(西方の民族の人間)がこれを求め一千金の買い値を付けた。
さらにその値をつり上げたが士人はこれを売ろうとせず、
終いには胡人が士人の家にまで付いて来て百万金の値を付けることになった。
そこで士人は漸く、翌日に胡人が現金を持って
剣を取りに来ることを取り決めた。

その夜、士人は剣を不思議に思い、庭にあった帛搗石(帛を搗つ為の石)
に剣を向けると、たちまち石は真っ二つに割れたという。
翌日、胡人が剣を取りに来たが剣は輝きを失っており、胡人はこれを嘆いた。
士人がこれを詰ると、胡人は
その剣が破山剣といい、一度しか使えない。
また、自分はそれで宝山を破ろうと思っていたが、
剣は輝きを失っていた。何かを斬ったに違いない。
と言ったので士人は昨晩のことを後悔し
胡人に事情を説明したところ、胡人は一万金でこれを買い取ったという。

というのが、その説話のあらましのようです。
"破山"という名は他にもありそうですが、
まずスペルカードとはその名前の類似性が認められると考えられます。
次に、山をも破ることができるというその威力は
「破山砲」のスペルカードの威力の高さ。
さらに、一度しか使えないというその性質は
「破山砲」が強力な一撃を見舞う技であること、
また「破山砲」には発動後の隙が大きいと、
といった要素に結び付けることができそうなので、
もしかしたら、華符「破山砲」は
これをモチーフに含んでいるのかも、ということで紹介させて頂きました。

突発企画・神社巡りレポート(7)より・伊吹 萃香(スペルカード・戸隠山投げ系統

天手力男命(あめのたぢからおのみこと)。
さて、この名前。
東方萃夢想をプレイした方なら判るかと思います。

萃鬼「天手力男投げ」
そう、萃香の岩を萃めて投げるあの豪快なスペルカードの弐符バージョンの元ネタである神様なのです。
…節分ネタとは、こういう事です。節分→鬼→萃香(笑

天手力男命は記紀神話のうち、有名な「天之岩戸(あめのいわと)」の物語で活躍します。
やはりこちらも符の壱「投擲の岩戸」の元ネタです。
…何というか、判りやすいですね。

さて、その伝承を軽く要約すると、大体以下のような感じになります。

天照大御神は、高天原に上ってきた素盞鳴尊を高天原に侵攻しに来たのだと疑いました。
素盞鳴尊は、自分は潔白で、ただ姉である天照大御神に会いに来ただけだと主張しました。
そこで、天照大御神は素盞鳴尊が潔白であるかどうか、誓約(うけひ)で決着をつけることにしました。
この誓約によって一時天照大御神と素盞鳴尊は和解をしたようですが、
その後素盞鳴尊は狼藉の限りを尽くします。
天照大御神も弟である素盞鳴尊を弁護してたのですが、ある時…
神聖な機屋(はたや)に皮を剥いだ馬を投げ入れ、その時に機織をしていた女性の死を招いてしまいます。

これを嘆いた天照大御神は、天之岩戸という岩の裏側に隠れてしまうのです。
さらに、太陽神である天照大御神が岩戸に隠れてしまった事で、
高天原は真っ暗になり災厄が蔓延ってしまいました。

これを見かねた神々は打開策を考えます。
そこで、八意思兼神の一計により、諸々の神々が神具・祭具を作り、
(鏡や玉、幣など。八咫鏡・八尺瓊曲玉(やさかにのまがだま)もこの時に作られたといいます。)
天之岩戸の前で祭り騒ぎを始めます。
途中、天鈿女命が激しい踊りを披露したり。

その騒ぎが天照大御神の耳にも入り、何事かと戸を少し開けて覗き込みます。
そこに、鏡を見せてびっくりさせ、その隙に。
天手力男命が天照大御神を掴み、天之岩戸の外へと引っ張り出したといいます。


と、天手力男命は最後に天照大御神を外へ再び連れ戻すという大任をこなした神様です。
一方、長野の戸隠神社では、天手力男命は天之岩戸そのものを投げ、それが現在の戸隠山になったと伝えているようです。
萃香が岩を投げるというエフェクトはこれに由来するのでしょう。
(最も、最初に相手の懐へ飛び込み掴みかかっているので、
天照大御神を引っ張ったという方の話とミックスした、とも考えられますね)。
なお、戸隠山の名称からお判りの通り、萃符「戸隠山投げ」
ここから導き出せますね。




― 永夜抄関連 ―

11/3/6付けの雑記から
幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)」、マインドベンディングについて

mind …心、精神。
blow …1.強風。強風が吹く。爆破する。等。 2.強打、一撃。精神的打撃。

マインドブローイングは mind blowing であると考えられ、blowに-ingが付いていることから、
元のblowは動詞の1.の意味の方だと考えられる。
よって「mind blowing」で"精神を爆破すること、精神破壊"というような意味合いになると思われる。
一方、略式・俗語ではあるが、形容詞的に用いる英熟語で「mind-blowing」という一続きでの単語も存在する。
この英熟語の意味は"幻覚性の、幻覚剤の。極度に興奮させる、スリリングな。"といった意味である。
幻波「赤眼催眠(マインドブローイング)」の下位版は波符「赤眼催眠(マインドシェイカー)」であり、
mind shaker、"心を震わすもの"というような意味になることから、ニュアンス的に極度に興奮させる、という意味と
通じる部分があるかもしれない。
また、鈴仙自身は幻視・幻覚を操ることができることから、幻覚性の、という意味も持つことは面白い。

これに付随して、mind-bendingもmind-blowingと同様の意味を持つ英熟語として存在する。
こちらが以前の際に見逃していたものである。
以前ではbendingが曲げる・曲がる、といった意味を持っていたため、mind bendingで精神屈曲、
と意訳していたのであるが、"幻覚性の"あるいは"極度に興奮させる"という意味の方も検討しても良いかもしれない。

― 出典 ―
・『東方永夜抄 ~ Imperishable Night.』
     上海アリス幻樂団 2004
・『東方緋想天 ~ Scarlet Weather Rhapsody.』
    上海アリス幻樂団/黄昏フロンティア 2008

― 参考文献 ―
・『ランダムハウス大英和辞典 第2版』
 小学館ランダムハウス英和大辞典第二版編集委員会編
 小西 友七/安井 稔/國廣 哲彌/堀内 克明編集主幹
 S. B.フレックスナー編集顧問 小学館 1994


09 11/30付けの雑記から
五虫とミスティア雑考(続)
ミスティアのスペルカードに蛾符「天蛾の蠱道」がありますが、
天蛾はスズメガのことですね。
これはミスティアが夜雀という妖怪であることから雀繋がり、
その一方で夜雀は蛾のような姿といわれることもあり、蛾繋がりの関連というように
汲み取ることもできます。

ところで、そのスズメガの仲間(鱗翅目スズメガ科)に、
"ホウジャク"という蛾がいます。

このホウジャクは、その姿が一種の蜂に似ているためなのか、
"蜂雀"と表記します。
その一方で、"鳳雀(鳳雀蛾)"と書くこともあるようです。

以前、五虫とミスティア戦後の紫様のセリフ
 「全く、夜雀風情が
  羽蟲の王気取りは、絶望的に早いわ」
との関連を取り上げましたが、
羽蟲の長(王)は鳳凰のことでした。

先程の"鳳雀"のつづりは、これを髣髴させるものがあります。
ミスティア自身のスペルカードの一つ(天蛾)に、
このことを表すかのような事物(鳳雀)を垣間見ることができるのは
面白いかと思われます。

果たしてこれは偶然の産物なのか、それとも想定の範疇なのでしょうか…

-------------------------------------------------------------------------------

― 出典 ―
・『東方永夜抄 ~ Imperishable Night.』
     上海アリス幻樂団 2004

― 参考文献 ―
・『漢文大系第53巻 孔子家語』 宇野 精一著 株式会社明治書院 H.8
・『新漢文大系第54巻 淮南子(上)』 楠山 春樹著 株式会社明治書院 S.54
・『平凡社 大百科事典 13』 下中 邦彦編集発行人 平凡社 1985
・『大辞典 下巻』 下中 邦彦編集兼発行者 株式会社平凡社 1974覆刻版

09 11/7付けの雑記から
五虫について・軽く雑考

五虫(ごちゅう)とは古代中国の動物に対する観念で、
羽蟲・毛蟲・甲蟲・鱗蟲・倮蟲の5つのことです。
(なお、ここでの蟲は昆虫などの虫のことではなく
動物の総称を表しています。)
この五虫のそれぞれについて見てみると、
羽蟲は羽のある動物で、その長は鳳凰、
毛蟲は毛のある動物(蝶の幼虫のような毛虫ではなく、いわゆる獣のこと)
で、その長は麒麟、
甲蟲は甲羅のある動物で、その長は神亀、
鱗蟲は鱗のある動物で、その長は蛟竜、
倮(=裸)蟲は裸の動物で、その長は聖人、
とされるといいます。

この五虫のことは、
『東方永夜抄 ~ Imperishable Night.』で紫がミスティア撃破後に発したセリフ
 「全く、夜雀風情が
  羽蟲の王気取りは、絶望的に早いわ」
の中に、五虫の1つである羽蟲の文字を見ることができます。
これについて、
"夜雀という一介の妖怪が羽蟲の王(つまり鳳凰)を気取るなんて…"
というような意味なのではないかということは、
遥か昔にPARADOXさんや電子のたまごさんを始めとする方々が
考察なさっていました。
また、この五虫は紫のセリフだけでなく、
幽々子のセリフにも関連があるのではないか、
ということも仄めかされていました。
ところで、今回私はこの五虫について述べている具体的な書物はないのか、
と思い調査したところ『広辞苑 第六版』の「五虫」の項の記述から
『孔子家語』(執轡)にその記述を発見しました。
その部分のみを以下に引用します(括弧内は返り点を表すものとします)。
 「故曰。羽蟲三百有六十。而鳳為(二)之長(一)。
  毛蟲三百有六十。而麟為(二)之長(一)。
  甲蟲三百有六十。而亀為(二)之長(一)。
  鱗※ 蟲三百有六十。而龍為(二)之長(一)。
  倮蟲三百有六十。而人為(二)之長(一)。…<後略>」
                 (『漢文大系20 淮南子・孔子家語』)
(※ 原文では"麟"でしたがおそらく"鱗"の誤り。
  他書の解説などでも"鱗"と表記されていました。)
なお、これとほぼ同じ内容は『大戴礼』(易本名)にも記されており、
『淮南子』(墜形訓)にも同様の内容が見えるようです。

ところで、この章段の五虫より前にある文章に興味深いことが記されていたので
取り上げたいと思います。
 「天一地二人三。三三如九。…<中略>…
  三九二十七。七主(レ)星。星主(レ)虎。故虎七月而生。
  二九十八。八主(レ)風。風為(レ)蟲。故蟲八月而生。…<後略>」
                 (『漢文大系20 淮南子・孔子家語』)
この文章は万物と数について述べており、これに拠れば
七は星を(つかさど)り、星は虎を主るとされています。
また、そのために虎は七ヶ月で生まれる、と。
(私の稚拙な推測ですが、七と星については
北斗七星が背景にあるのでは、と思われます。)
虎と星(あるいは七)との関連は分かりませんが、
少なくとも古代中国では既に星と虎は関連付けがなされていたようです。
虎と星、といえば…
『東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.』のステージ5ボス、
寅丸 星が思い起こされますが、何か関連があるのでしょうか。

また、同文では八は風を主るとされています。
この二つの文字は、
『東方風神録 ~ Mountain of Faith.』のステージ6ボスにして
風神である八坂 神奈子を思い起こすことができます。
このように複数のキャラクターを思い起こすことのできる文章が存在するというのは
これが仮に意図的なものがあったにせよ偶然の一致だったにせよ、
興味深いことだと思われました。

余談ですが、風は(むし)を主る、故に蟲は八ヶ月で生まれる、
という文についても見てみたいと思います。
虫といえば、リグル・ナイトバグ。
彼女は『永夜抄』に登場しますが、『永夜抄』は東方Projectの8作目。
また、中秋の名月は旧暦の8月15日であり、
その月を見ると8という数を見ることができます。
このことから、八と虫との接点も推測することができるのではないでしょうか。


-------------------------------------------------------------------------------

― 出典 ―
・『東方永夜抄 ~ Imperishable Night.』 上海アリス幻樂団 2004
・『東方風神録 ~Mountain of Faith.』 上海アリス幻樂団 2007
・『東方星蓮船 ~ Undefined Fantastic Object.』 上海アリス幻樂団 2009

― 参考文献 ―
・『漢文大系第53巻 孔子家語』 宇野 精一著 株式会社明治書院 H.8
・『漢文大系20 淮南子・孔子家語』 福部宇之吉校訂 合資会社冨山房 T.6四版
・『漢文叢書 小学、孝経、孔子家語』 塚本 哲三編輯 有朋堂書店 T.10
・『大戴礼』 新田 大作著 株式会社明徳出版社 H.5三版
・『広辞苑 第六版』 新村 出著 岩波書店 2008


突発企画・神社巡りレポート(12)より・上白沢 慧音について/スペルカード・産霊系

高皇産霊命や神皇産霊命の名は見ての通り、
上白沢 慧音のスペルカード 産霊「ファーストピラミッド」の元ネタですね。
その弾幕形状については他サイト様でも多く論述されていますが…

一応記させて頂きますと、
おむすびの三角形との関連でしょう。
一方、産霊(むすび)と所謂おむすびは別の語源で
本来関連は無いという話を聞いた覚えがありますが、
おそらくZUN氏は産霊とおむすびを掛けているのでしょう。

…あるいは、上白沢 慧音が最初に発動するスペルカードである事、
また天地の初めの際に生じた 天御中主神・高皇産霊命・神皇産霊命の三柱を
"造化三神"として扱う事から考えると
この造化三神の三とも掛けている可能性もありうる気がしなくもないです。


突発企画・神社巡りレポート(3)より・因幡 てゐと大国主命

大国主命といえば、因幡の素兎を助けた事でも知られています。
この神は別名が多く、そのうちの一つに大穴牟遅神(おおむなちのかみ)があります。
この名前。そう、因幡てゐのスペルカード 借符「大穴牟遅様の薬」の元ネタですね。


突発企画・神社巡りレポート(3)より・八意 永琳と八意思兼神

八意思兼神。
この神は言うまでも無く、ご覧の通り八意永琳の元ネタである神さまです。

八意は言うまでも無くその姓に。
思兼はオモイカネと読みます。
そう、そう、スペルカード 操神「オモイカネディバイス」・神脳「オモイカネブレイン」の元ネタですね。
また、この神は人の持つ知識を体現したような神様。
永琳の天才、月の頭脳というその形容は無論ここからですね。


突発企画・神社巡りレポート(7)より・八意 永琳スペルカード・オモイカネ系統

八意思兼神の一計によって天之岩戸から天照大御神を再び外に連れ出す事に成功した、
という、天之岩戸の説話から考えると…
操神「オモイカネディバイス」・神脳「オモイカネブレイン」
のあのレーザーを発射して自機を回転するよう誘導する使い魔は鏡でしょうかね?
まさに天之岩戸から天照大御神を導くように、レーザー(鏡から発せられる光)によって
画面上部へと導かれる自機達…。

さて、鏡であろう使い魔がレーザーを発するのは、鏡に電飾のような光源が取り付けられていたのか(ぉ

それとも、永夜抄の自機である8人の人妖達が
光り輝くように美しいからであったのか。

…"光り輝くように美しい"…
かぐや姫の名前の由来を示す一説には、"かぐや"とは"かがやくような"、
の音から名付けられた、という説があります。
もしかしたら…蓬莱山 輝夜を地上から月の世界へ…あたかも神話の太陽女神のように連れ戻す為の装置・頭脳…
永夜抄のストーリーも絡んでくるネーミングという事でしょうか。流石師匠。


突発企画・神社巡りレポート(12)より・八意 永琳と八意思兼神2

八意思兼神は天之岩戸に天照大御神が隠れてしまった際に
"深く謀り遠く慮り『日本書紀』"て祭りを行うとあります。

八意思兼神はこの他、天孫降臨に先立って地上を平定する為に派遣する神々の選定も行っており、
天孫降臨の際には瓊瓊杵尊と共に随伴して天降っています。
また、その際に天照大御神から神鏡の祭祀を司るように命じられています。
(『すぐわかる 日本の神々 聖地・神像・祭りで読み解く』
                 鎌田 東二監修 株式会社東京美術 2005、
『「日本の神様」がよくわかる本』 戸部 民史著 PHP研究所 2004)

師匠が天才と言われ月の頭脳の異名を持つのはこの八意思兼神の性格からというのは
以前に紹介した通りです。

ところで、八意思兼神は天照大御神から直々に鏡の祭祀を任されています。
オモイカネ系統のスペルカードに出現する使い魔が鏡とすれば、
上記の件があるからこそ、師匠はスペルカードとして神具(鏡)を使うことができたのではないか、
と考えられますね。

さて、他のスペルカードについて少し見てみましょうか。
天丸「壺中の天地」・薬符「壺中の大銀河」は
古代中国の故事、"壺中の天"からでしょう。

その昔、汝南(じょなん)の役人で費長房(ひちょうぼう)という人がいたといいます。
その費長房が不思議な老人と出会い、一日、壺中の別天地に行き
そこで酒を飲み、歓を尽くした後に再び壺の外に出てきた、という説話。
(『岩波 故事ことわざ辞典』 時田 昌瑞著 株式会社岩波書店 2000)

大銀河は天地の拡張バージョンと考えられます。
両者共に一種の理想郷とも思われますね。

覚神「神代の記憶」・神符「天人の系譜」は、
永夜抄スペルプラクティスモードでのコメントにあるように、
また見た目からも系譜を模しているのは自明です。

しかし、問題は何の系譜、かでしょうか。
レーザーが系譜を描いているのであれば、またそれを忠実に守るのであれば、
師匠は全ての最初の場所に位置しています。
神話上の八意思兼神は、

天御中主神(あめのみなかぬしのかみ)―高皇産霊命(たかみむすびのみこと)―八意思兼神
と繋がっています。
(高皇産霊命からは神皇産霊命(かみむすびのみこと)、栲幡千々姫命(たくはたやちぢひめのみこと)
にも系譜は連なっています。)

レーザーは神々の系譜を完全には再現していないので、忠実に守るべきかどうかは論議が問われますが、
その始原の一致を求めるのであれば、師匠は天御中主神にも比定される事になります。
天御中主神は万物の根源神であり、その名の通り天空(宇宙)の中心を司る、とされています。
そしてそれが民間信仰では妙見菩薩に習合されており、
妙見菩薩は北極星や北斗七星を神格化した存在とされています。

…そういえば、師匠の服には北斗七星が輝いていましたね。

これについて、また師匠に関する考察はKEIYA氏が自身のサイト『PARADOX』
にて熟考されているので、より詳しい考察をお求めの方は是非どうぞ。
…なので私如き小物が重箱の隅をつつく様な無粋な真似をするのもどうかと思うのですが…(汗


突発企画・神社巡りレポート(4)より・神々の系譜/エフェメラリティ137

幡豊秋津師比売命は天之忍穂耳命(あめのおしほみみのみこと)と婚姻し、
天孫降臨の主役である瓊瓊杵尊をもうけるという神話があります。
そして、瓊瓊杵尊は木花咲耶姫命と婚姻して、彦火火出見命はじめ三柱をもうけます。

彦火火出見命は山幸彦・海幸彦の物語で有名ですね。
彦火火出見命は豊玉姫命と婚姻して鵜葺草葺不合神(うがやふきあえずのかみ)をもうけ、
鵜葺草葺不合神は豊玉姫命の妹・玉依姫命と婚姻して神武天皇をもうける…。

もうお判りですね?
儚月抄の豊姫・依姫の元ネタとなっている神様の系譜に連なるというわけです。
なお、万幡豊秋津師比売命は高御産巣霊神(たかみむすびのかみ)の子ですが、
同じように高御産巣霊神の子として八意思兼神がいます。
師匠と豊姫達は非常に遠い親戚なのですねぇ…。
(これについては幾つものサイトで既に考察がなされていますね。)

なお、上の神武天皇ですが、
確か享年137歳だったかと。
137…
そう、慧音のスペルカード「エフェメラリティ137」の元ネタです。


08/7/17の雑記から・八意 永琳/蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」

永琳の衣装について少々。
永琳の衣服は赤黒(紺)反転という色の対比もさることながら、
スカートの裾には八卦、胸部には星座、
特に北斗七星などの北の夜空が縫いとめられております。

中国の神様の中で、北斗七星を神格化した存在がいます。
それが、北斗真君です。
北斗真君は、古代中国の書物、『捜神記』では人の死を司り、
対となる南斗真君は生を司ると述べられているようです。
生と死。蓬莱の薬は不老不死の薬であり、
永夜抄の重要なキーワードであり、そしてかかるテーマはまさに生と死。
また、同書では碁を打つ北斗と南斗(なんしゅ)に酒肴を献じて
延命した男の話が記されています。

これに関連し、北斗七星に祈祷し延命を願う法も存在しますし、
北斗七星と生死は切っても切り離せない関係にあるように思われます。

…ここで気になったのは、
永琳のスペルカードの蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」です。
スペルカード中、永琳が放つ使い魔は自機の前後を往復し、
規則正しく並んだ無数の弾を配置し、自機の動きを拘束します。
これは、後述のライフゲームを模したものと考えられるでしょう。
そのライフゲームとは、コンウェイという学者が
考案したシミュレーションゲームだそうです。
詳しいルールは私は把握していませんが。
ところで、このシミュレーションゲームをモチ-フにしていると
方々で既に考察がなされていますが、
それだけではないと私には思えるのです。

規則正しく並ぶ円形の弾。
それは、碁盤に並ぶ碁石を表しているのではないでしょうか。

何故そう思うのかというと、二つの理由があります。
一つは、碁石が天空に瞬く星々・星座を表象している
という思想があることです。
これを踏まえて蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」の弾幕を見てみると、
碁石を敷き、散りばめる様に星々を弄る(ゲーム)とも見て取れます。
それは、永琳が劇中で満月を隠したように星々を操作する力の体現とも
見ることができるのではないでしょうか。
二つ目は、宿曜の思想です。
それは、かなり端的に言えば、
星の位置や動きで人の運命や寿命、国家の体制などが決まる、
というような考えだったと記憶しています。

この二つの考えを併せて考えると、
蘇活「生命遊戯 -ライフゲーム-」は
碁石を敷き詰め、散りばめる所作の見立てであり、
それは天空に瞬く星々を操作することに通じます。
さらに、星々を操作する事は人々の運命や寿命を変えることになると考えられるのです。
つまり、寿命操作(ライフゲーム)。

…ではないかと。




― 花映塚関連 ―

10/05/18付け雑記より
・鈴仙・優曇華院・イナバのExアタック「マインドエクスプロージョン」について
ところで、3月に旧作をプレイしてから全く言及していなかったので
今更ながら一言。
鈴仙の花映塚エキストラアタックの「マインドエクスプロージョン」って
もしかすると夢時空の小兎姫のエキストラアタックを
セルフモチーフにしているのかなぁ、と。
確か彼女のエキストラアタック(無指向性エキストラボム)
も画面上部から降ってきて爆発する
タイプだったと思うので、弾幕的に類似。
あとウドンゲは"月の兎"、一方小兎姫は名前に小"兎"姫で兎繋がり、と。


突発企画・神社巡りレポート(8/午前の部)より・小野塚 小町について

"小野篁(おののたかむら)"。
…実は、東方のとあるキャラと関わりがあるとされる人物です。
これについては幾つかのサイトでも既に記述されているようですが、
私もこれについて述べておきたいと思います。

関係のあるとは、東方花映塚に登場する"小野塚 小町"その人です。
名前から判る通り、元ネタは小野小町(おののこまち)でしょう。

小野小町は歌仙として知られる人物ですが、
彼女に纏わる伝承や伝説をモチーフにした謡曲では、
男性との交渉が盛んで比類の無い驕りの生活を送っていたと伝わります。
着る物にも贅を尽くし、和歌を詠ずる日々を送ってたと言います。
しかし、家族を失ったことで一人破屋に住む身となってしまいます。
そして最後には、山野を放浪するという運命に…。
(『日本伝奇伝説大事典』 宮田 登ら著 大日本印刷株式会社 S.61)

この内、前半の金を湯水に使うような性格から
小野塚小町のスペルカード、 投銭「宵越しの銭」が導かれます。
なお、宵越しの銭とは諺"宵越しの金は持たない"からと考えられます。
この諺の意味する所は、"その日に稼いだお金はその日の内に使ってしまう。"
という事で、江戸っ子の気前の良さを表す言葉とされます。
(『現代新国語辞典改訂新版』 金田一 春彦編 学習研究社 2000 改訂新版第4版発行 より)

また、この諺は小町の江戸っ子気質や言葉遣い、性格そのものに通ずるものがあります。
スペルカード中でも、銭をポンポン投げていますしね。

その他、三月精中で和歌を詠んでいたのも、小野小町が歌仙に数えられる事に由来すると考えられます。


更に、小野小町の祖父について。
『日本架空伝承人名事典』(大隅 和雄ら編集 平凡社 1986)や
『朝日 日本歴史人物事典』(小泉 飲司編 朝日新聞社 1994)では、
小野小町の祖父は上述した小野篁であると伝えられています。
(最も、小町も篁もその系譜がはっきりせず、両者の関係は疑わしいものがありますが…)
さて、この小野篁。こちらも多くの伝説が付き纏う人物で、
優れた詩人であり、また筆も達筆であったといいます。

幼少の頃は武芸に励んだのですが、それが嵯峨天皇を嘆かせてしまいます。
しかし、その事によって一念発起し、以来学問に専心したと伝わります。
遣唐副使を命ぜられたものの、二度にわたり失敗。
その後大使と仲違いをし、病と称して乗船を拒み、嵯峨天皇の怒りを買います。
その結果、隠岐に流刑されてしまいます。
後に復帰するものの、4年後に没した。
…というのがその生涯のあらましです。

ところで、その伝承については
"冥府に赴き、冥官(閻魔の下で働く役人)となる"というものが多く伝わるようです。
京都にある珍皇寺(東山区)や千本閻魔堂(引接(いんじょう)寺、上京区)に
そうした伝承が伝わるといい、冥府に行く為に使ったという井戸があるとかないとか。

この伝承を引用すれば、小町は篁の孫に当たるので、
篁(冥官→閻魔)の下で働く、という考えに基づくのでしょうか。
或いは小町と篁を同様に扱い、共に閻魔の下で働く、という考えに基づくのか…。
どちらにせよ、小野塚小町の"閻魔(四季映姫・ヤマザナドゥ)の下で働く"という設定が導けます。


08/5/16 Memorium(雑記)から・リリーホワイトと彼岸花について

藪から棒ですが、彼岸花の別名についてちょっと調べてみました。
何となく。

曼珠沙華は著名ですね。他にも、御神輿(おみこし)や野松明、
嫁の簪(かんざし)、馬の舌曲がり、など
イメージから来ていそうな名前や一風変わったものがありました。
その他…
手腐り花、幽霊花、死人花、など不吉な感じが見て取れるもの。
さらには、
秋に花を咲かせ、春に葉を出す為に葉と花を同時に見ることはできない、
という性質から葉見ず花見ず、という別名もあるそうです。
なお、この性質から相思花という名前も。

これだけ別名が多いという事は、古来から人々の注目を集めてきた証拠ですね。
…名前がたくさんあるとそのものの本質を見極める事が難しくなることもありますが…。

さて、それは兎も角、そうやって調べるうちに
彼岸花の別名の一つに"ハリケーンリリー"
というものがあるらしいということが判りました。
Hurricane Lily(嵐の百合)…。

まさか、花映塚でリリーホワイトが弾幕をばら撒いていたのは
彼岸花への伏線だった、なんてことはないですよね?


09 12/31雑記より
最近の三月精で、閻魔様と地蔵菩薩に関して触れられていたという
情報を耳にしたのですが、その話は以前も聞いたことがあるような…
と思って軽く手持ちの資料の中で調べてみました。

まず東方Projectの中では、
『東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.』において
多くの閻魔様は地蔵菩薩の中から採用されたことなど、
閻魔王と地蔵菩薩との関連が記されています。

では、実際の日本ではどうだったのかというと、
十王信仰(十王裁判に纏わる信仰)などにおいて、
閻魔王の本地仏は地蔵菩薩であるとされているようです。
あるいは、密教においても地蔵菩薩と閻魔王は同一視されているようです。
この閻魔王と地蔵菩薩の同一視は『今昔物語』、『宇治拾遺物語』、
あるいは『日本霊異記』といった書物においても記されていたといいます。
一例として『日本霊異記』には、
 「我は閻魔王、汝が国に地蔵菩薩と称ふ、是なり」
という一文があるようです(『日本伝記伝説大辞典』)。
なお、この閻魔王と地蔵菩薩の結び付けは、
特に十王信仰と共に各地に伝播していったようです。

上に記したのは短絡的な記述ですが、
これらの記述を見ても、閻魔王と地蔵菩薩の同一視は
わりと広く浸透していたらしいことが窺えるのではないでしょうか。

---------------------------------------------------------------------------
― 出典 ―
・『東方求聞史紀 ~ Perfect Memento in Strict Sense.』 ZUN著 一迅社出版 2007

― 参考文献 ―

・『日本伝奇伝説大事典』 乾 真己ら編集 角川書店 S.61
・『日本民俗宗教事典』 佐々木 宏幹ら監修 三秀社 1998
・『仏教用語事典』 須藤 隆仙著 株式会社新人物往来社 1993
・『仏教民俗辞典』 仏教民俗学会編著 株式会社新人物往来社 1993